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Viaje en Mexico 2012 Dia 5

5日目(Parenqué)
(1 Mayo 2012)

寒い。凍えるほど寒い。まさか亜熱帯のメヒコ・カリブ海沿岸でこんな目に遭うとは思わなかった。ベラクルスからビジャエルモサに向かう夜行バスの中で、僕は寒さに震えていた。メヒコのバスはやたらにクーラーを効かせる。それは聞いていたがまさかここまでとは。どおりで、なぜか乗客のほとんどがジャンパーのような服を羽織っていたわけだ。このときの僕はポロシャツ1枚。バックパックは荷物室に入れてしまっているし、かろうじて持っていたパーカーをかぶって夜を明かした。でも周囲もみんな寒そうにしてたけど、これについては、メヒカーノは何も言わないんだろうか・・・。

そんな夜を数時間過ごした後、バスはまだ夜明け前のビジャエルモサ市内に滑り込んだ。時刻はまだ午前5時前。周囲はまだ真っ暗である。バスターミナルに着いた僕は、すかさず目的地であるパレンケ行きのバスチケットを購入した。係の人によれば、バスはすぐに出発するという。こういうところ、メヒコはバス網が発達している。ベラクルスではいろいろあったが、結果的にはほとんどオンスケジュールで動けたようだ。ひとまず安堵。

やがてやってきたパレンケ行きのバスに乗り込み、ビジャエルモサの街を後にする。ビジャエルモサはタバスコ州の州都で比較的大きな街だが、今回の旅では通過するだけのポイントだった。郊外には、オルメカ文明の巨石人頭像で有名なラベンタ遺跡公園もあるが、時間の都合で今回はパスせざるを得なかった。

やがて、日が昇ってきて夜が明け始めた。パレンケ行きのバスはジャングル地帯の道を進んでいく。パレンケまでは2時間ちょっとの道のりだ。このバスではガンガンにクーラーが効いているということもなかったので、少し眠っておきたかったが、今度は見たくもないビデオ上映が始まった。どうも、メヒコのバスではこれがデフォルトらしい。仕方ないので、何となくそのビデオを見ながら眠くなるのを待ったが、どうも眠くならない。ビデオの内容は、何かのハリウッド映画のメイキングドキュメンタリーで、CGの撮影を解説するというものだったが、このビデオ、朝の6時くらいにいったい誰が見たいんだよ? まことにメヒコという国は不思議なところがある。

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そうこうしているうちにバスはパレンケの街に到着。さすがにここまで来ると、街自体が小さく、バスターミナルもこれまでの街のような立派なものではなく、ごく普通の田舎のターミナルといった感じになった。着いた時間はまだ朝の7時台。予定ではここパレンケで丸1日を過ごし、夜にまた夜行バスに乗って、次の目的地であるメリダに向かうつもりでいたのだが、パレンケ遺跡を見るだけなら半日くらいで十分だろう。もし、午後発のいいバスがあれば、メリダに行く途中のカンペチェまで行ってしまってもいい。そこで、バスの時刻表を見たが、パレンケ発のバスは近隣のビジャエルモサ行きを除けば、驚くほど便が少ない。結局メリダ方面に向かうには夜まで待たなくてはいけないようだった。ビジャエルモサまでひとまず戻るという手もあるが、それも結局遠回りになるだけのような気がした。ここパレンケでは、日本人の旅行者の姿もちらほら見られたが、ほぼ同じようなことを思っていたらしく、今日これから丸1日どうやって時間をつぶそうか、という会話をしていた。僕もまったく同じ状況だった。

まあ時間はたっぷりあるので、朝食でもとりながら考えることにした。ターミナルを出て少し街を歩くと、いくつかレストランが営業している。そのうちのどこかに入ろうと思ってメニューを見ていると、通りがかりの人からチラシを渡された。話を聞くと、地元の旅行会社の人で、ツーリスト向けの1日観光ツアーをやっているということだった。ちょっと検討すると言ってその場は別れ、近くのレストランに入る。朝食メニューは4種類ほどあって、どれも40ペソくらい(300円弱)。ひとまず普通のトーストと卵+肉の何か(ベーコンエッグくらいのものかと思ってた)、サラダ、ジュース、コーヒーがついたメニューを頼むが、これがまた量が多い。しかも、やっぱりここでもついてくるのね、トルティージャ。メヒカーノは意外と大食漢である。でも、それほど太っている人はいないのが不思議だ。

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ここで、ちょっとパレンケについて少しだけ説明しておく必要があるだろう。パレンケ遺跡は、マヤのいくつかの遺跡の中でも特に大きく重要な遺跡だ。マヤの遺跡としては、蛇のピラミッドで有名なチチェンイツァーが有名だが、こちらは大観光地、カンクンに近いこともあってやや観光化が進んでいると聞く。その点、こちらのパレンケのほうが秘境にあり、訪れる人も少ない。グアテマラのティカル遺跡と並んで、遺跡好きの人には大人気のスポットということだった。ただし、秘境だけあって、アクセスはそれほどよくない。この旅をプランするに当たって、ここパレンケは外せないポイントとして考えたのだが、どうやっても、パレンケに行くには丸1日を要するのだった。もちろん、今回の旅の中でも最重要ポイントとして考えていたので、丸1日使うことについてはやぶさかではなかったが、できれば効率よくいろいろなところを回ろうと思っていたので、できれば、この日中にカンペチェに行ければ、翌日はカンペチェ→ウシュマル→メリダという最短ルートを通ることができ、ベストなルートとなるはずだった。ただ、どうもその計画は無理なことがわかった。次の目的地はメリダとなり、途中のカンペチェは残念ながら素通りということになりそうだった。まあ仕方ない。

朝食を取りながら、先ほどもらった現地ツアーのチラシを見る。1日ツアーに参加すると、パレンケ遺跡はもちろん、近くにある「ミソル・ハ」という滝や、「アグア・アスル」という場所にも連れて行ってくれるようだ。これで料金は150ペソ(1100円)くらい(送迎のみ)だったかな。まあ特にすることもないし、どっちにしてもパレンケ遺跡まではバスで行かなくちゃいけないし、僕はこのツアーに申し込むことにした。会計を済ませて店を出て、先ほど教えてもらった「Kukulcan travel agency」というオフィスに行くと、先ほどのお兄さんがいた。ツアーへの申し込みを済ませ、バックパックを預かってもらい、身軽になる。なんでも「アグア・アスル」では水浴びができるというので、水着の用意をしておけということを言われ、一応スタンバっておく。しばらくして9時くらいにツアーは出発。ひとまずここから参加するのは、僕のほか、アメリカ人カップルの1組だけらしい。まずは、最初の目的地であるパレンケ遺跡へとミニバンは向かっていった。

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パレンケ遺跡はパレンケの街から車で10分くらいの山中にある。国立公園なので、入園するためにはチケットがいるが、これはツアーでまとめて買ってもらった。さらにプラスして、環境保護税みたいなものがいるらしく、これは別料金で27ペソ(200円くらい)必要になった。これで無事入園。入り口の近くで車を降り、13時にこの先の建物のところで集合ということで、ひとまず自由行動となった。いよいよ、この旅のクライマックス・パレンケ遺跡にご対面である。

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少し階段を上ると入り口があり、そこでチケットを見せて入園。入って少し歩くとすぐに最初の遺跡が見えてきた。「頭蓋骨の神殿」そして「碑文の神殿」だ。「碑文の神殿」は、パレンケ遺跡の中でももっとも有名なピラミッド形の神殿だが、現在登ることはできない。ひとまず遠くから写真を撮って眺めたあと、順路的にはその近くにある「宮殿」を見るのが普通だろうが、観光客の多くが宮殿に向かっているのを見て、僕は一番奥の高台にある「太陽の神殿」や「十字架の神殿」を目指すことにした。まだ空いていそうな奥から順に遺跡を見ようと思ったのだ。この計画はうまくいき、それほど混雑しない時間帯に、主立った遺跡をじっくりと見ることができた。なお、奥にある遺跡群は土地自体も高い場所にあるが、さらにピラミッド形の「十字架の神殿」に登ると、パレンケ遺跡の全貌を高いところから眺め渡すことができる。ここは写真を撮るのにはおすすめのスポットだ。

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その後しばらくして、高台を降り、今度は「宮殿」をじっくりと見て回る。周囲は、徐々に朝の爽やかな日差しから、強烈な昼間の日差しに変わってきていており、観光客もこの時間はあまり日なたに出たくないようだ。そういうわけで、結構な観光客が来ていたにもかかわらず、僕はパレンケ遺跡をかなりじっくりと堪能することができた。時間にして3時間くらいはいたろうか。それでも見飽きない光景だった。

メヒコとひと口に言ってもいろいろな地域がある。最初に見たテオティワカンの遺跡は、2000m級の高地に作られたアステカ文明の遺跡。そして、このパレンケ遺跡は、亜熱帯のジャングルの中にあるマヤ文明の遺跡だ。この2つはまったく異なる文明に属しており、雰囲気もだいぶ違う。テオティワカンの巨大なピラミッドもすごかったが、僕はこちらのパレンケのジャングルの中にそびえる遺跡のほうが好きだ。ひと言で言えば、非常にミステリアス。比較的こじんまりとまとまっているが、ジャングルの緑とのコントラストが美しく、風景としても味わいがある。そして、来るのが大変なので、それほど人が多く来ない(それでも結構いたけど)。できることなら、国境を越えて、グアテマラのティカル遺跡も見たかったところだが、日程の関係で今回はあきらめた。その分、このパレンケ遺跡が今回の旅ではもっとも重要なポイントとなったのだが、苦労して来た甲斐があったというものだ。まあ、あまり言葉を尽くしても、伝わらないと思うので、写真を見て想像していただければと思う。

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あとひとつ、テオティワカンと違ってよかったのは、園内に物売りがそんなにいなかったこと。もちろん許可されている人は多少いたけど、テオティワカンほどではなかった。マヤ族の末裔のおばさん方が、いろんなものを持ってきて、売ろうとしてきたが、「何月生まれ?」と聞くので「1月」と答えると、マヤのカレンダーで1月に相当する動物のアクセサリーを勧めてくる。最終的には僕も1つ買ったが、まあ安いのでいいか。

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遺跡を一通り見終わって、写真にも収めたところで、集合場所に向かって山を下りていく。ガイドいわく、奥の道から15分くらいで下りてこられるということだったので、そちらのルートから山を下っていく。こちらの道は、まさにジャングルの中の遊歩道という感じで、これはこれでいい雰囲気。途中、川や小さな滝などを見つつ、15分くらいで、集合場所の美術館前に出た。まだ少し時間があったので、美術館を一通り見て回り、13時くらいにツアーのミニバンに乗り込んだ。すると、ここからは同乗者が増えており、一気にその数は8名くらいに。いろいろフレキシブルに対応しているようだ。やがて、乗客が全員乗ったことを確認すると、ミニバンはさらに奥地のほうに向かって走り出す。次の目的地は、美しい滝「ミソル・ハ」だ。

ミソル・ハまでの道は、ほぼひたすら山道だった。ガイドブックによれば、パレンケから南へ18kmというから、それほど近いわけでもないのだろう。結構な距離をバンは走り、やがて入り口らしきところに着いた。そこでまた環境保護税みたいなものを徴収され、ミソル・ハへ。ミニバンを降りて、少し歩くと、そこにミソル・ハはあった。確かにキレイな滝である。逆に言えばそれだけなんだけど、まあ少しばかり涼を得ることができた。ここを見終わると、さらにミニバンは奥地のほうに向かって走り出す。結構な山道を越えていくのだが、途中で何か検問のようなものがあった。銃を持っていたがどうも警察らしくはない。もしかしたら、あれがこのあたりを根城にしているサンディニスタのゲリラなんだろうか。下手な知識があるだけに少し緊張したが、何のことはなく、少し停まっただけでミニバンは再び走り出した。こういうのも、地元ツアーならではの体験なのかもしれない。

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たぶん1時間くらい走った頃に。バスはようやく「アグア・アスル」に到着。直訳すると「青い水」というこの場所は、小さな滝が連なる景勝地ということで、暑いこのあたりではいい水浴場となっているのだ。というわけで、一応水着の用意もしてきたのだが、水浴びできるエリアは現地のファミリーでいっぱい。さすがにここでゆったり水浴という雰囲気でもなかったので、水浴はあきらめ、周囲を散策するのみに。これは、ツアーに参加していたほかの人も同じ印象だったらしく、最初からいっしょだったアメリカ人カップルなんかは。最初から水着でスタンバっていたのだが、がっかりといった感じだった。まあ、でも場所自体はいいところで、風景もきれいだし、滝もきれいで、来た甲斐はあったかなという感じ。ただ、最後は時間をもてあましてしまい、駐車場近くのバルまで戻ってきてセルベッサでも飲もうかと思っていたら、ほかのツアー参加者もやっぱり集まっていて、おしゃべりしていた。まあ、そんな感じよね。

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やがて時間になったので、ミニバンはパレンケに戻る帰路についた。途中の山道にあったお店の前で停まったので、誰かががお土産物でも買うのかと思ったが、どうも数名がここでバンを降りて、ほかのバスか何かに乗り換えるようだった。実はこのあたりはすでにチアバス州で、中心地のサンクリストバル・デ・ラスカサスまでは結構近い。おそらくはそちら方面に向かう旅行客なのだと思うが、実は僕もこの逆ルートでパレンケに行けないかと少し考えていたのだ。でも、山道で時間がすごくかかると聞いたのであきらめた経緯があるのだが、確かにこの道では思った以上に時間がかかりそうだ。あきらめて正解だったかもしれない。

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そんなこんなで最終的にツアーのミニバンがパレンケに戻ってきたのは、すでに19時くらいだったかと思う。今夜乗るメリダ行きの夜行バスは21時出発だったので、まだ時間があった。どこかで食事でもしようかと思ったが、実はそれほどお腹も空いていない。そういえば近くにコンビニがあったので(メヒコはコンビニがあちこちにあるのだ)、そこでサンドイッチとコーヒー、水を買って、バスターミナルのベンチに座って食べた。特にすることもないので、ものすごくヒマだったが、周りの人もそんな感じでグダグダしている。何となくダラダラしているうちに時間が過ぎて、バスの時間になったので、荷物を預けてバスに乗り込み、そのままほぼすんなりと眠りについた。それなりに疲れていたのだろう。そして、今夜のバスはクーラーはギンギンにかかっていないようだった。

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by cama-d | 2013-05-19 22:29 | Mexico


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