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Viaje en Mexico 2012 Dia 8

8日目(Cancún~Ciudad de Mexico.D.F.)
(4 Mayo 2012)

カンクン。
紺青の空と、白い雲と、水色の透き通ったカリブ海の海。白い砂浜のビーチが長く延び、爽やかなカリブの潮風がほほをなでる。

そんな、まるで夢のような光景の中に、僕はいた。いや、本当にいたのだ。朝目覚め、ホテルの窓にかかるカーテンを開けると、そこには、昨晩は暗くてまったく見えなかった海が目の前に広がっていた。一瞬、我が目を疑った。素晴らしい光景である。ビーチである。リゾートである。カリブ海である! 僕はついにこんなところまでやってきてしまったのだ。これまで、メキシコシティを出てから4日間、夜行バスに揺られ、ジャングルの中の遺跡を巡る旅をしてきた僕にとっては、何か別次元の光景だった。次第に笑みがこぼれる。そうだ、ここはカンクン。カリブ海随一のビーチリゾートなのだ!

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僕はすぐに部屋を出て、ホテルからビーチに通じる階段を降り、砂浜に向かった。まだ陽は、東側に広がるカリブ海から昇り始めたばかり。まだ空気は朝のすがすがしさをたたえており、海から渡ってくるやや強めの風がさらに心地よさを倍増させていた。僕は長く延びる白砂のビーチを南側に向かって歩いた。カンクンの砂州の上に作られたリゾートホテルがずっと向こうまで続いている。これらのリゾートホテルに宿泊した者の特権として、このビーチは解放されている。つまり、ここは共有のプライベートビーチなのだ。まだ朝早いからか、ビーチにはほとんど人影もない。このビーチを僕は独り占めしている気分だった。気持ちいい。ここまで気持ちいい経験は久々だ。そして、この眼前に広がるカリブ海の美しさと言ったら! 僕はビーチリゾートというものにとんと縁がない人間で、これまでハワイにも、沖縄にさえも行ったことがない。行ったことがあるとすれば、若い頃にそうとは知らずに迷い込んだスペインのコスタ・デル・ソルのマルベージャか、南米ブラジルのリオ・デ・ジャネイロにあるコパカバーナくらいなものだ。それらと比べても、ここカンクンの海はある意味で素晴らしかった。バックパッカーの身でリゾートホテルはどうかと思ったが、これだけで来てよかった、泊まってよかったと思えた。もちろん、恋人と来るのがベストだとは思うが、まあそれはまたのお楽しみということで。

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しばし浜辺の散歩を楽しんだ後、いったん部屋に戻り、しばしダラダラする。この日は、夕方カンクンの空港からメキシコシティに戻る飛行機に乗るだけしか予定はなく、それまでの時間は何をするかまったく決めていなかった。カンクンの街を楽しむのもいいだろうし、時間があれば近くのトゥルム遺跡まで足を伸ばしてもよかった。ただ、トゥルムまでは2~3時間かかるようだし、そうすると慌ただしく荷物をまとめて出発しなくてはいけなくなる。それに、遺跡はこれまでにもう十分に見たという感じもあった。どうせここまで来たのだ。ビーチを楽しもう。カンクンを楽しもう。そう思って、今度は水着に着替え、再びビーチに出た。

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すでに時間は8時を回っていたが、ビーチにはまだほとんど人がいなかった。こういうリゾートでは、人々は遅くまで寝て、遅く朝食を取り、そして午後ゆっくり遊んで、さらに夜も遊ぶのだ。こんな朝早くからビーチで泳いでいる人間などいない。でも、僕はお昼前にはホテルを出る予定だった。それに、すでに海は十分に温かい。水遊びをするには最適な気温だった。ちょっと波は高かったが、僕はカリブの海に飛び込んで、水とたわむれた。こうやって海水浴をするのも何年ぶりだろう。遠浅の砂浜は、水際から少し先に行って腰掛けても波が腰を洗う程度。寄せては返す波が心地いい。そして、このカリブの海の美しさよ。まさにエメラルドブルーという感じのキレイな水色に染まった海。そこに今いるというだけでも、これだけ幸福な気持ちになれる。カリブ海、あなたは本当に美しい。天国というところがあれば、きっとこんなところに違いない。それくらいに思える光景の中で、僕は海とたわむれていた。

そうやって十分カリブの海を堪能し、ホテルの近くのショッピングモールなども軽く物色したりして、僕は朝の時間を過ごした。でもまだ10時くらい。まだ少しばかり早かったが、ここですべきことももうなかったので、ホテルをチェックアウトして、バスに乗り、旧市街のセントロ(ダウンタウン)へと向かった。

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旧市街のセントロは、先ほどまでいたホテルゾーンとはまったく世界が違っていた。こちらは完全にメヒコの街で、向こうは完全にUSAだ。少し移動しただけで、ひとつ国をまたいだくらいのギャップがある。これがカンクンという街の本当の姿だ。物価もこちらとあちらでは2~3倍違う。僕の泊まっていたホテルのレストランでは、朝食のビュッフェが1,000円くらいしていた。でも、こちらのセントロなら200~300円くらいで朝食が食べられる。こちらがメヒコの標準。あちらがリゾート価格というわけだ。

ひとまずバスターミナルに着いた僕は、荷物を預け、身軽になる。少し早いが、朝食もまだ食べていなかったので、早めのランチに向かうことにした。少し離れたところにある「28市場」というところに、「El Cejas」というシーフードが美味しそうなレストランがあるというので、ターミナルから歩いて向かう。若干距離はあったが、地図を見ながら行ったので迷わずにたどり着いた。お土産物屋の呼び込みを断りつつ、目指す「El Cejas」を探す。ちょうど市場の中央当たりにその店を見つけた。まだメヒコの時間ではランチに早い12時くらいの時間だったので、お客さんはまばらだったが、僕は魚のソテーと、魚介のセビッチェ、そしてセルベッサ「Modelo Especial」を頼む。メヒコに来てから、いろんなセルベッサを試したが、有名なコロナよりも美味しいセルベッサがたくさんある。この「Modelo Especial」もそうだ。やがて、やってきたセビッチェは、これまた1人では食べきれないほどの量。僕はセビッチェが大好きなので、つい前菜で頼んでしまうのだが、これは多い! でも美味しいから結局食べちゃいました。その後、魚のソテーが来たけど、どっちかだけでよかったかも。でも、せっかくカンクンまで来て、シーフードの美味しいレストランまで来たんだから、食べなきゃ損損。どちらも美味しくいただきました。それでも、きっと払った料金は、ホテルゾーンのハンバーガーランチくらいじゃないかな。やっぱり僕はこういう場所が好きだ。

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そんな感じで、気持ちよく昼食を終え、ひとまずバスターミナルまで戻ろうかと歩き始めたのだが、ここで予期せぬ事件が起こる。何と、道に迷ってしまったのだ。僕は、かなり方角には敏感で、どこの街に行っても日中ならまず迷わないという自信があるのだが、先ほどの28市場で、入ったのと違う出口から出てしまったのが悪かったようで、そこが予想していた方角と違ったためか、行けども行けども知っている道に出会わないという状況に陥ってしまった。持っていた地図もそのあたりのエリアまでカバーしておらず、しかも悪いことに、このあたりの道路は碁盤目状ではなく、やたらと曲がっていた。それでも、何とかこの状況を脱しようと、脳内であらゆるシミュレーションをして、来た道を戻ったり、別の方角に曲がったりしたのだが、なぜかどんどん街の中心から離れて行っているような気がする。しかも、すでに太陽が高く昇っており、じりじりと暑さがこたえるようになっていた。こうなると、やたらと人間、不安になってくる。1時間くらい突破口を見つけながら歩いたが、体力は消耗してくるし、飛行機の時間も気になってきた。ひとまず、近くの人に聞こうと思って、銀行のガードマンらしきお兄さんに、ここがどのあたりなのか、バスターミナルはどっちなのか聞いてみたが、どうも要領を得ない。最終的には「すごく遠いからタクシーに乗れ」と言う。まあそれもそうだが、何となくそれは最終手段という気がしていた。そこで、近くのバス停に停まったバスの運転手に、このバスはターミナルまで行くか?と聞いたところ、「Si.」という。これでひとまず助かった。バスに乗り込み、町並みを眺めつつ、今自分がいる場所がどこなのかを確認しようとするが、結局よくわからない。そのうち、セントロらしい風景になり、バスターミナルの近くまで来た。どうやら歩いているうちに、本当に結構遠くまで行ってしまっていたようだ。降りるべきポイントが若干わからなかったのだが、運転手が降りろと手招きしている。「!Graciaz!」と礼を言い、バスを降りると、すぐ目の前にターミナルがあった。ああ、助かった。

結局1時間くらいロスしたが、14時くらいにはターミナルまで戻ってこられた。フライトは17時台だったが、そうなるとチェックインは16時まで、ターミナルからシャトルバスで空港まで30分かかることを考えると、それほど余裕はなかった。シャトルバスのチケットを買いにカウンターに行くと、次のバスはあと20分後くらいに出るという。慌ただしかったが、先ほどの件もあるし早めに行ったほうがいいと思い、そのバスのチケットを購入。喉が渇いていたので、珍しくコカコーラを買い、一気に飲み干す。メヒカーノはコーラが大好きだが、確かにこの国に長くいると、こういう飲み物が飲みたくなってくる気持ちもわからなくもない。

それからシャトルバスに乗って空港に向かった。予想どおり空港には早めに着いてしまったが、今日はハプニングもあったし、カンクン自体は予定よりもよほど深く体験したので、思い残すことはない。飛行機の出発までは少しヒマだったが、カフェなどを飲んで時間をつぶす。カンクンは国際空港だけあって、設備やショップはかなり豊富だ。本来なら、この旅はここで終わって、このまま帰国というプランもなくもなかったが、まあ初のメヒコということもあって、帰路の飛行機に間に合わないというシチュエーションだけは避けたかったので、1日マージンを取っておいたのである。まあ、結果的には杞憂で終わったが、何があるかわからないのがラテンアメリカだ。明日1日メキシコシティでフリータイムができてしまったわけだが、これは旅がうまくいったご褒美というかおまけとして楽に過ごせばいい。

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やがて飛行機の登場時間となり、国内便ということもあって歩いて飛行機へ向かう。利用したのはvolarisという低価格エアー。メヒコでも最近はこうした低価格の航空会社が増えてきたということで、カンクンからメキシコシティまでも確か7,000円くらいだったと思う。結構安くて便利だ。これまで4日かけてやってきたメキシコシティ~カンクン間もわずか1時間ちょっとで到着。久々に(と言ってもたかが5日だけど)着いた首都メキシコシティーは、やっぱり相当な都会に見えた。これまでの5日間の旅は、メヒコの田舎を巡る旅だった。ユカタン半島は、メヒコの中では「超」がつくほどの田舎だ。その旅は、大変なこともあったけど本当に楽しかった。ディープなメヒコを見てきたという感じもある。そして、僕は今、再び、首都メキシコシティーに帰ってきた。数日前にここを出たときとは、まったく感覚が異なっている。大都会メキシコシティー。あと1日、ここでどう過ごそうか。

この日の宿泊先は、空港そばのビジネスホテル。翌々日にはまた朝早めのフライトで帰国の途につくため、空港近くのほうが何かと都合がいいと考えたのだ。空港に着くと、歩いてホテルへ向かいチェックイン。周りにはあまり安くて美味しそうなレストランがなかったので(ホテルの中にはあったが、行く気にならなかった)、再度空港まで戻って、またもやコンビニでお酒とつまみだけを購入し、ホテルに戻って晩酌。メヒコは本当にどこにもコンビニがあって便利だ。夜はまだ浅かったが、ほかに何もすることがないので、この日はそのまま就寝。やっぱりソナ・ロッサあたりに宿を取ればよかったかなとちょっと後悔。

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by cama-d | 2013-05-24 00:58 | Mexico


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